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Home > なのフェイパラレル中編【Bittersweet love】 > はうー

はうー



いよいよ真ん中ら辺です。折り返し。
ここで折り返すとなると12話くらいで終わるかな。ワンクールじゃん。なんか嬉しい。
まあそんなに長くは続かないと思いますけど(笑)
そんなこんなで追記よりビタースイートラブ続きです。
今回は大分展開が速いので頑張って追いついてください(お前物書き失格
そういえば昨日の夢でなのはさんと会いました。
夢で会った人物とは疎遠になるそうです。三次限定だと信じています。

「私、それが叶ったら死んでもいいの、フェイトちゃん!」
「う…それが叶ったら、なのは死んじゃうの? じゃあ、嫌だなあ…」
「あ、ちが、そうじゃなくてねフェイトちゃん」

みたいな夢です。なぜかなのはさんが声優目指してました。しかもリリカルなのはの高町なのは役を狙ってました。意味不明。さずが私の夢。













そこは海のよく見える駅だった。
寂れたそれは哀愁が漂っており、冬の風は更に物悲しさを引き立てる。
駅の壁に背を預けるのは、金色の髪を靡かせた一人の女性だった。


彼女の瞳は通り過ぎる人々を、ただ映していた。






~Bittersweet love~ 6






フェイトさん――! 何処? フェイトさん!!

「はっ……はぁ……」

人と人の間を駆け抜け、私は走り続けていた。
頭に浮かんでは消えていく、フェイトさんのあの悲しい目と顔を振り切りながら。
そうしないと止まりそうになる足を、必死に動かす。
どこに行ったかなんて検討も付かない。この辺りの道もよく知らない。
それでも、私は探し続けた。

「はぁ……っ」

運動が苦手なこの体に、苛立ちすら覚えた。
息が上がる。

「どこ……フェイトさん」

走ったはずの体は熱くなく、それどころか逆に冷えているように感じた。
あの時は、フェイトさんと出会ったあの時は、フェイトさんとキスをしたあの時は、冬でも体が焼けそうなほど熱かったのに。

「理由……聞かなきゃ」

どうしてあんな悲しい目をしたのか。
どうしてあんな悲しい声で去って行ったのか。

「私、まだ、何にも聞いてない……!
私、まだ何も言えてない!」

震える肘。
疲労と、焦りと、恐怖。

だけど。

「だから……」

私は再び、その足で走り始めた。

「フェイトさん――!」


走り続けた。
転びそうになり、息を切らして、一人で、見知らぬ土地を――……







『君、どうしたの?』







「――……え?」

……違う。
私は、この場所を、この道を知っている。

それは、ほんの僅かな記憶の欠片。
だけど、とても、とても大切な……

「また、あの声……」

何がこの記憶を塞いでいるの?
痛くなった頭を抑え、足を止めた。
これは、きっと思い出さなきゃいけないこと。
何故かそう確信した。

「誰……?」

それはとても幼い。
幼くて、不器用で。

「誰なの……」

立ち止まった私の肩に、誰かの肩がぶつかった。
私はふいに顔を上げ、謝る為に前を向いた。


謝罪を言い、去った誰かの後ろの景色を見た私は、絶句した。



「あ………」


それは、古びた駅だった。
海の良く見える、小さな駅。



『………名前は? 私、フェイト。フェイト・テスタロッサ』



頬に伝わる何か温かい水が、涙だと判断するのには、少し時間が掛かった。


「私……」

そう。
あれは、お父さんの転勤が決まってすぐの夏休み――
お父さんの親戚が祝ってくれるって、一週間ほど海鳴に遊びに来ていて。

それで……



「私、フェイトさんと会ってたんだ……」

拭う気も起きないほど、それは流れ続けた。
その涙が、私の記憶を塞いでいた何かを壊すように、いや、溶かすように、私はその記憶を思い出す。

「どうして、忘れてたんだろ……」

夕陽が、眩しいほど光っていて。
それはまるであの時の再現のように。

私はまだ途絶えそうも無い涙を無理やり拭って止まらせた。

そして、吸い寄せられるようにその駅に向かう。
白い壁は夕焼けに染まり、橙色に輝く。


そして――……




「フェイトさん……」

その呟きは、小さすぎてフェイトさんまで届かなかった。

フェイトさんの瞳は何を映しているのだろう。
私が声を掛けないと気付かないかもしれないほど、遠くを見ている。

だから、私は直ぐには声を掛けなかった。
しばらく夕陽に照らされる金色の髪に見とれていた。


そして、私を急かすかのようにふわりと吹いた風を合図に、私はフェイトさんに近寄り、フェイトさんの白い肌に触って、キスをした。



「ん……」
「………!!」

数秒だった。
だけど柔らかなその唇の感触は、きっと次にキスをするまで離れない。

「っ……な、なのは……?」

赤く染まった頬。
だけど確かに見える、涙の跡。

私はその跡をなぞる様に触り、最後に唇を親指で撫でた。

「な、のは……」
「フェイトさん」

フェイトさんの言葉を遮るように、私はフェイトさんの名前を言った。
フェイトさんは押し黙る。私は微笑み、目を細めた。





「覚えていますか?

あの夏の、拙いキスを」





フェイトさんの瞳が凝縮するのが分かる。
私の手に、一粒の涙が零れた。


「……う、そ……?」

「……私です。なのはです。フェイトさん」

「嘘……だって……」


私は零れた涙を拭うために、親指を唇から頬に移動させた。

「……あの時の、迷子の女の子。
この駅の、この場所で、貴女は私を救ってくれました」
「………本当に、あの……?」
「はい……フェイトさん」


フェイトさんの体がふるふると震えている。
その面影は、十年前のフェイトさんに重なった。

私は耐え切れなくなり、その身体を震えごと抱きしめる。

肩が濡れるのが分かった。
それは熱く、冷たい。

「フェイトさんは私の大切な人です。今も、昔も、変わらず……」
「うっ……うぅ……」

柔らかい髪が、指に絡まる。
嗚咽はとても弱々しい。
そして同時に、とても愛おしかった。

「だから、涙を拭いて……
教えて欲しいんです。フェイトさんが悲しむわけを、フェイトさんが私から逃げた理由を……」
「な、のは……」

フェイトさんから身体を離して、目を合わせた。
その顔は涙でぐしゃぐしゃで、なんだか可愛くって。

「教えてください。フェイトさん」

私はあの頃と同じ、純粋な笑顔でフェイトさんを包んだ。







「怖かったんだ……私。
逃げたのは、きっと、なのはから嫌われたんじゃないかって、恐怖から」

フェイトさんが大分落ち着いた頃。
私達は砂浜に居た。

プラスチックの椅子に腰を下ろし、二人でオレンジ色の海を眺める。

「そんなの、こっちの台詞ですよ……
あんな言い方されれば、不安になります」
「そうだね……ごめん。私、弱くって」
「フェイトさん……」

「ずっと、不安だった。
初めてキスをしたときも、好きだって伝えたときも、私が本気だって知って、拒絶されたらどうしようって……

今日も、私から誘ったくせに、ずっと緊張しっぱなしで……
いつか何かボロが出るんじゃないかって、ずっと不安だった……

駄目だね、私。なのはを不安にさせちゃって、ほんと、馬鹿みたい」
「フェイトさん……」

漣が耳を掠めて、潮の香りは鼻腔を刺激する。
フェイトさんの目はいつまた泣き出すか分からないほど潤んでいた。

「フェイトさん……――フェイトさんは、本当に馬鹿だと思います」
「なのは……あ……」

私の掌より随分大きい掌を握った。
フェイトさんの体がびくりと震えた。

「どうして逃げたのか、言って下さい」
「そ、れは……」
「言って下さい……お願いです」
「それは……なのはが」
「私が?」

私はまるで尋問のようにフェイトさんを問い詰める。
だってこうでもしないと、フェイトさん何時までたっても自分を責め続けそうなんだもの。

「なのはが、彼女に……」
「アリサちゃんの、ことですか?」

フェイトさんが頷き、言葉を続ける。

「彼女に、私が彼女だって言うのを、躊躇って……

それで、私、なのはが実は私のことを好きじゃないのかなって、思っちゃって……」

「それは……」
「うん……分かってた、分かってたんだ。いくら友達でも、行き成りそんなことは言えないって。でも……」

フェイトさんが俯く。
手は震え、冷たかった。

「フェイトさん……ごめんなさい……
私も、不安になっていたんです。

もし私がここでフェイトさんのことを恋人だと言ったら、フェイトさんはどう思うのかなって……
困ったり、しないかなって……
今思うと、馬鹿みたいな話なんですけど」
「なのは……」

フェイトさんが私の手を握り返す。
私もフェイトさんの手を握る力を強めた。

「フェイトさん……ごめんなさい。
私、フェイトさんのこと、信じ切れてませんでした。
フェイトさんはこんなにも、私を好きでいてくれるのに……」
「なのは……なのは……」
「でも、私も同じくらいフェイトさんが好きなんです。

だから、フェイトさん。
私を信じてください。そうしてくれたら、私も同じくらい、フェイトさんを信じます」


フェイトさんの手を、私の胸へ寄せる。
私の手の温度が通じたのか、フェイトさんの手は温かくなっていて。


「なのは……――!!」

その手は胸から背中に回された。
私もフェイトさんの背中に両手を回す。

「うん……信じるよ、なのは……
絶対に、もう、逃げたりしない……」

「はい……フェイトさん」





初めて会ったあの時も、再び会ったあの時も、貴女はいつも遠い存在だった。
それは年齢の差以上に感じる落ち着きと冷静さ。


そんな貴女も好きだけど、私に身体を預けてなく、今の貴女も好き。
貴女が今日、私に言ってくれたように、ありのままの貴女も好きです。





きっとこの恋は途切れない。
そう感じた。





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