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Home > なのフェイ中学生長編 > #1

#1

せーーーーーふ!!!(おい










何時も、倒れたら、
そこには視界満面の空があった。

時に焼けるような赤で、時に真っ白くコーティングされていて。

でも、
私が好きなのは、
貴女の瞳のような、

蒼く澄んだ、空だった。





~ Innocence ~ 『 純真 』
    




First Chapter  【  Spring  】


#1 < さくらいろ >


たん、たん、たん。と、

廊下に響く、私の足音。


今、この廊下には、誰も居ない。
教室にも、トイレにも、人っ子一人居る気配すらない。

窓から見える空はやや青に赤が差していて、あまり綺麗とは思えなかった。
そこに自分と彼女を重ねてしまった自分に自己嫌悪し、気分を切り替えるため廊下の足音に耳を傾ける。

たん。たんたん。

水道の蛇口の栓がよくしまっていなかったのか、定期的に水が落ちる音が聞こえた。
私は鬱陶しくなって、それに近づきその蛇口の栓を閉めた。

きゅ。

ぴたんと、水の音は止む。

ふと、見上げたところに映っていたのは、自分の顔。
鏡。

乱れた髪を整えもせず、私は酷く醜い自分の顔を眺めていた。
しかし直ぐに見ていられなくなり、目を離す。

真っ白い壁に、青白い指を翳す。

指先にコンクリートの冷たさが、流れる。
指先の神経は敏感で、無機質なその感触は私の脳を刺激した。


誰も居ない教室。


不思議と孤独感は感じない。
独りは苦手な筈なのに、今は何故か一人が心地よかった。

鎮めたはずの心臓が、再び踊り始める。
熱くなる頬を、無理やり冷ます。




脳から、彼女が離れない。

なぜ?

わからない。

ただ、痛く、
ただ、辛い。




何時もなら、とても短く感じられる廊下が、何故かとてつもなく長い距離に感じられる。
独りだからだろうか?

右にある階段から、風が流れてくる音が聞こえる。
吸い込まれてしまいそうになる、音。

その風を受けて、私の手中にあったプリントがかさりと鳴った。
飛ばされそうになるほど強い風ではないので、私はそれを放っておくことにする。

暫らく立ち止まって、風を受けていた。

数秒か、数分か。
あまり遅くなって彼女を心配させるわけにもいかないので、歩を進めることにした。


空は、赤が青を侵食している。

良い光景とは、言えなかった。


日直、という仕事も、楽ではない。

放課後に書類整理をしたり、日誌を書いたり。
御蔭で彼女を待たせてしまうことになる。

彼女は、優しい。

きっと、私が知っている人の中で、誰より。

だからこそ、彼女の優しさに甘えてはいけないと、いつも思っている。
だけど、結局は今日も待たせることになってしまった。

正直。
顔を合わせることが辛かった。

早く帰りたいと、早く彼女に会いたいと思っていたのは、最初だけ。
だから書類の整理は早く終わらせた。

でも。
いざ帰るとなって、その道で、私は迷ってしまっている。
いっそ、帰ってしまってくれたら楽なのに、などと思ってしまっている。

本当は分かっているのに。

彼女がそんな人ではないということを。

会いたい。
でも、会いたくない。

私は一体、何を望んでいるのだろうか。


再び響く、足音。


たん、たん、たたん。

「え…?」

驚いて、足を止める。
今、足音が二重になった。

…まさか。


たん、たん。


近づいてくるそれ。
逃げるという選択肢すら、私にはない。
まるで鎖のように、その音は私の足を締め付けているのだから。


たん、たん、たん。


段々と、大きくなってくる音。
リズムよく、爽快に、なにかの曲のように。


かん、

階段を、登り終える音が、



「…フェイトちゃん?」


たん。


思考が、止まる。


遠いような、近いような、そんな距離。
でも、確かに見える、彼女の笑顔。確かに聞こえる、彼女の声。





「な、のは…?」



彼女が、来たということに。
いや、違う。
彼女の、柔らかな微笑に。
いや、それも、違う。


一番驚いているのは、私の、彼女を見た時の、反応だった。


「な、の…」
「夕日で、」

一歩、一歩。
近づいてくる彼女に、私は戸惑うことしかできない。


「夕日で光って、凄く綺麗だよ。フェイトちゃんの髪…」

「あ…」


拒絶する隙も、なく。
彼女の細い指先に絡めとられる髪の感触を、私はただ呆然と受けていた。

「えへへ。遅いから、心配しちゃって来ちゃったよ」
「あ…、ごめん…」
「もう。なんで謝るの? なんでもかんでも謝ろうとするのは、フェイトちゃんの悪い癖だよ?」
「え、あ、ごめ……、あ」
「ふふっ、ほら、また」
「う…うん。ありがと」
「え?」
「来て、くれて。嬉しいよ」
「フェイトちゃん…。うん、どういたしまして」

不思議だった。

どうして、彼女はこんなに優しいのか。
どうして、彼女はこんなに笑えるのか。

どうして、彼女はこんなに、愛しいのか。

彼女の蒼い瞳が、揺れる。
桜色に染められた頬。
亜麻色の髪が靡く。

「ほんとなら」
「ん?」
「ほんとなら、お仕事手伝いたかったんだけど…」
「ああ、しょうがないよ。なのはは委員会の仕事あったわけだし、それに、手伝わせたりなんてしたら悪いし…」
「うん…。
でも、せめてフェイトちゃんの隣に居たかったなあ」

かあ、と。
顔が熱を持つのが分かる。

にこ、と微笑む彼女の姿が、とても眩しい。

後ろの夕日のせいなのか。
それとも、彼女自身の光がそうさせているのか。

二つの足音が、同時に響く。

窓から見える中庭で、木が風を受けて揺れているのが見えた。
春なので、花も咲いている。
プランターに飾られた、色とりどりの花。
それぞれ、綺麗に咲き誇っている。


しばらく無言のまま、私達は長く続く廊下を歩いていた。


「先生。プリントの整理、終わりました」
「ん? ああ、ありがとう。そこに置いておいてくれ」

職員室独特のコーヒーの匂いが私の鼻腔を掠める。
このピリピリした空気には、どうも慣れることが出来ない。
管理局の張り詰めた空気とはまた違い、私はそこが苦手だった。

プリントを適当な場所に置き、ノートパソコンを弄っている教員を横目に、私はそこを後にした。

「失礼しました」

一礼が義務付けられているので、一応しておく。
黒い扉に貼り付けられている、『入るときは「失礼します」出るときは「失礼しました」』の紙が目に入る。

こんなもの、別になくてもいいのに、とは思う。

「お疲れ様、フェイトちゃん」
「うん、なのは」
「帰ろっか」

私はこくんと頷いて、玄関へと向かった。
既に他の生徒は下校してしまっている。
こんなに閑散とした学校は、久しぶりだった。

隙間風が、音を立てて入ってきている。
私は下駄箱から靴を取り出して、床に置いた。
砂埃が小さく舞う。

外は、すっかり日が沈んでしまっていた。

「桜…、散っちゃったね」
「うん…」

眼前には、緑色と赤茶色を見に纏った桜の木が構えていた。
ほんの数日前まで、それは枝の先から先までピンク色の花を宿していたのに。

ふと目をやった地面には、まばらに散った桜の花びらがあった。

「来年も、咲くといいね」
「そうだね。きっと、今年よりもっと綺麗で凄い花を、私たちに見せてくれると思うよ?」
「うん。そうだと、いいね」

春の風は、ほんの少し夏の匂いを混ぜて。
来年の春に、一歩近づいた気がして、嬉しくて。



でも、
相変わらず、私の心臓のおかしな動悸は、変わらないままだった。


その時の私は、それが一体何を意味しているのかすら、全く分かっていなくて。
それがこの後、私の、私たちの運命を変えていくなんて、そんなこと、思いもしなかったんだ。




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