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『 Dear… 』

なのヴィに萌えました。(なんだ急に
親子、いいよ親子愛。

というわけでなのヴィ。親子愛。
フェイトさんはぶられまくってます。ていうか出てこないので彼女のことは忘却の彼方に追い払ってください。

では追記よりどうぞ!







緩やかな時が流れる。
私の居るこの空間だけ、時の流れが周囲と違うのでは、などという錯覚すら沸いてくる、休日の昼下がり。
外では鳥の鳴き声が響き渡っている。
三連休だから、近所も皆様々な遊興施設に出かけているのだろう。

こんな天気のいい日、例外はうちくらいか。
ふう、と溜息を吐いて座っていたソファに寝転んだ。長い間陽光を浴びさせていた所為か、ほのかに太陽の香りがした。

「ひまだなあ…」

別に今更、嘘吐きだとか嫌いだとか言って拗ねたりはしないが、僅かでも疑いがあるなら変な希望を持たせないでほしい。
直前になって告げられるのは、幾ら経験したって慣れられるものではないのだ。

「…ああ、そう言えば」

私は空になりかけていた思考の片隅で、どうでもいいことを思い出した。
三連休の宿題があったのだ。
確かたいしたものではなかった気がするが、暇つぶし程度にはなるだろう。
私はリビングから出て、自室に行って鞄を探った。

「あ、あったあった。…『お母さんへのプレゼント』…?」

そういえば授業中は呆けていて話の内容など殆ど聞いていなかった。
プリントに目を通す。

「『〔課題〕三連休中までにお母さんへのプレゼントを作ること。例)感謝の手紙、似顔絵など。仕上げて提出』」

なんだこれは。
前回の作文といい、うちのクラスの宿題はややおかしい気がする。
とはいえ、どんな内容だろうと宿題は宿題だ。やらなければ、ならないのだろう。
私は再び、用紙を持ってリビングへと行った。

「そりゃあ、感謝はしてるけど…」

そもそも、普通の家族ではない。
なのはママ…、なのはさんには、沢山迷惑を掛けているし、そのくせ私は甘えっぱなし。
今日みたいに、…外出をして遊びに行くという約束を蹴られて仕事に行かれたりしたら、しょうがないって言い聞かせるけど、やっぱり寂しいと感じてしまう。
これは甘えだ。ママを困らせてしまうから、甘え。

「ママ…」

ママが私に向ける柔らかな微笑みは、フェイトママに向けているものとは微妙に違っている。
多分、私にしか見せない顔。

「…………」

似顔絵に、しよう。
そう思った。







意外と母親の顔というのは良く覚えているものなんだな。
描き終えてから、微妙に疲労した身体で天井を眺めつつ、そんなことを考えていた。

それは、私にとってなのはママが一人しか居ない親だから、なのかもしれない。

「…紅茶、煎れよう」

空は夕焼けで赤く染まっている。そろそろママが帰宅する頃だ。
ママはいつも帰ると紅茶を飲みたがる。
とびきり甘い、砂糖たっぷりの特性紅茶。

恐らく、ママの好みの味は、私とフェイトママしか知らない。

ぴー、と間抜けな音がして、お湯が沸く。
ポットを取り出し、お湯を注ぐ。そしてもう一度お湯を沸かす。
沸騰したらティーポットの湯を捨て、杯数分の茶葉を入れる。

茶葉の量は、ママの好みのBOPで中盛一杯。
茶葉を入れたポットに完全に沸騰して泡がごぼごぼ立っている状態の湯を素早く注ぐ。
そして、蓋をして二分ほど待つ。
面倒くさいが、慣れれば意外と楽なもの。最近は、寧ろ楽しみになっていた。

「はやく帰ってこないかな~…」

軽くかき混ぜてから茶漉しを通してカップに注ぎ分ける。
仕上げに角砂糖を落として、完成。
私は戸棚からクッキーを取り出し、紅茶と一緒にリビングへ運んだ。

時計の短針は七と八の中間を指している。
そろそろ帰ってくるだろう。

「ん~…。ふぁ…」

あれ、眠くなってきた。
あ、やばい。昨日は遅くまで本読んでて、寝るのが遅く――…







「ただーいまあー」

夜の八時。
私は我が家の玄関を踏んだ。

「ヴィヴィオ~。ヴィヴィオ~?」

急な仕事で置き去りにしてしまった娘へ謝るため、私はリビングに顔を出した。
何時もなら玄関まで迎えに来てくれるのに、今日は居なかったことも私を焦らせる。
怒らせちゃったかな?

「ヴィヴィ…!」

ヴィヴィオはソファに座りながら、布団も掛けずに眠っていた。
無防備なその寝顔に、私は少し安心する。
けれど、それもつかの間だった。

「ママ…」
「え?」

よくよくヴィヴィオの顔を覗くと、閉じられた瞼には雫があった。

「ヴィヴィ…」

私はそっとそれを拭う。
抱きしめたくなる衝動を堪えて、なるべく優しく頭を撫でた。

「御免ね…」

そして私は、机の上にある紅茶と紙に気が付いた。
冷め切った二つの紅茶。
そして、私が描かれた小さな画用紙。

「これ…」

線の一つ一つ、髪の一つ一つが丁寧に描かれたそれに、私は暫し呆然とした。
右下には、

『  Dear Mom  』

の文字が綴られている。

「ヴィヴィオ…」

不思議な感情に、襲われた。
泣きそうになる。

「ありがと。ヴィヴィオ」

私は着ていた上着を脱いで、ヴィヴィオに掛けた。







「あれ…?」

…どうやら、寝てしまったらしい。
反射的に時計を見る。
それの長針は十を示していて、まだ朝にはなっていないことに一安心する。
次いで思考が掛けられている上着にいった。
これはママのだ。恐らくもう帰って来たのだろう。
さっきから仄かにハンバーグの匂いがするのも、そのためか。

「…え?」

机上の絵が、増えていた。
紅茶が空になっている。

「これ、…私?」

私が描いた絵の上に置かれていた、私が描かれた絵。
まだ思考の処理が寝惚けていて出来ない。
私は呆然と、絵と、

『 お返しだよ Dear daughter 』

の文字を眺めていた。

「全く…」

ふう、と一息。
肉が焼ける香ばしい音に、私のお腹が反応する。

「こんなんで許されると思ってるのかねえ…」

それは、自分へ向けた言葉なのか、ママへ向けた言葉なのか。
分からないけど、まあ、

「ばーか」

なのはママがご機嫌なら、それでいいかな。なんて。


End.


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