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『足りない何かを埋める光』

今回はssです。
前携帯で書いた短編オリジ百合が出てきたので。

ちょっと加工してなのフェにしました。
フェイトが面倒くさい女っぽくなっているのは仕様です。そういう設定だったんです。

さて。では追記よりどうぞ。









なのは。

ずっと傍に居させて。 ずっと隣に居させて。
私の全てを捧げても構わないから、どうかその温もりを私に与えてほしい。

少しだけ。ほんの少しだけでもいいから。

「フェイトちゃん」
「なのは…。どうかした?」

いつもより少しトーンの低い声に、私は少し戸惑った。
心配するように覗く瞳は、私を不安にさせる。

「どうかしたのか、はこっちの台詞だよ。
フェイトちゃん、今日元気無いよね?」
「そんなこと…」

ああ、また要らぬ心配を掛けてしまった。やはり私は、駄目な人間なのか。
ますます、不安になってくる。
私は本当に、なのはの隣に居ても良いのだろうか。

「あるよ。さっきの攻撃。いつもと少し違った」

…そうか。
自分では上手く隠しきれたつもりだったのに。
いくら必死に隠しても、なのはを前にしたら裸も同然ってことか。

「疲れた? 休憩する?」
「いや、大丈夫だよ。休憩するよりも、なのはと一緒に、こうやって練習してた方が、逆に疲れもとれるんだ」

でも、平気。
いくら私の魔法がなのはに真実を伝えたって、なのはは気付きはしない。
誤魔化せば、簡単に騙せる。

そんなことを思う自分が嫌で、それでも私は逃げていた。

「…そっか、嬉しいな。でも、無茶して体調崩されても困るから、意地は張らないようにね。
今日は、もう一回やったら終わりにしよう」
「うん」

その気遣いが、私を余計に不安にさせていることに、彼女は気付いているのだろうか。
その言葉の一言一言が、どれだけ私の心を苦しめているか、彼女は知っているのだろうか。

「いくよ、フェイトちゃん」

その笑顔の輝きが、私を更に追い詰めていることを。

神は残酷で、優しくない。
だから、逆らわなければ生き残れない。
狡くなければ、勝てない。
そう思い続けて来た私に、なのはの純粋さは痛く、そして怖かった。

逃げたい。
何度思ったことか。

でもその度に、彼女は私に微笑んだ。
その真っ直ぐで綺麗な心を、私に突き付けた。

何時からか、私はその心を、欲しいと思うようになっていた。
要らない欲望が、膨らんだ。
捨てようと思えば思うほど、大きくなっていくのが分かった。

口付けを交わしても、誓いの言葉を綴られても、足りないと思ってしまう自分が憎かった。
彼女が誰かに、私以外の誰かに笑顔を振る舞っているところをみると、沸き上がってくる感情が押さえられなくなりそうで、辛かった。

どうすれば良いのだろう。
なのはに心配をかけまいととった行動は全て空回りしてしまう。

今日も、そうだ。
なのはが他クラスの男子から告白されていた所を目撃した瞬間、私は逃げた。

手から力が抜け、鞄を落とし、そのまま走って教室へと駆け込んだ。
着いてから、息も整わないうちに、彼女が入って来た。
手に鞄を持って、笑顔で。
嬉しかった。隠せない、誤魔化せない感情だった。

「…フェイトちゃん」

いつの間にかなのはは練習を中断させていては、顔を上げると、すぐ傍になのはの瞳があった。
驚いて一歩後退ろうとすると、彼女は私の両肩を掴んで、そのまま引き寄せた。

「え…?」

とくん。

なのはの心音なのか、私の心音なのか。
分からなくなって、眼を瞑った。

とくん、とくん。

安心してくる。
顔が熱くなるのが分かって、同時に心の棘が消えていく感覚も感じられた。

もう、どちらかの鼓動なんて分からない。
そんなことはどうだっていい。
今はただ、この優しさに全てを委ねたい。

「フェイトちゃん…」

髪を撫でられる。
耳元で囁かれると、くすぐったくて身を縮ませた。

「大好きだよ、フェイトちゃん」
「…足り、ないよ」

きゅ、となのはの服を掴む。
優しくされると甘えてしまう。どうしても勝てない相手。

「言葉じゃ、何とでも言える…」
「確かに、そうだね。
言葉だと、気持ちは伝えられても、想いは伝えられない」

だけど、言葉にしても行動にしても、それが相手に上手く伝わるかは分からない。
なのはは笑う。

「私の想いは、ちゃんと届いてないみたいだけどねー」
「え…」

彼女の両腕が、私の背中に回され、私は更に、なのはに密着する状態になる。

「私がどれだけフェイトちゃんのこと好きなのか、フェイトちゃんは分かってないよ」
「そんな、こと…」

甘えては駄目だ。
分かっているけど、止まらない。

―…そう。
最初から、私に選択肢など、無い。

「そんなこと…、なのはも同じでしょ?」

顔に熱が溜まっていくのが分かった。
なのはには適わない。

「そうなのかな?」
「そうなんだよ」

縮こまって、それでもはっきりと伝える言葉は、少しずつ私の不安を取り除いた。

なのはの微笑みと囁きは、私への想いが籠められていることが、良く分かった。
それは、自惚れなんかじゃなくて。

「なのは…。大好きだよ…」

心から、私は。

「うん。私も、大好きだよ」




End.



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