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なんかとまらなかったんで

一気にこうしーん。

注!シリアスです。はやてがふるぼっこ!w
ご了承頂いた方のみ追記からどうぞ。












ふわふわとただよう、雲とともに。
私は空を、漂った。


― ≪空白の幸せ≫ ―


「気分はどう? なのは」

頬を掠める微風。
サファイアのような青空に、私はそっと手を伸ばす。
黒い手袋に包まれた掌が、私と空を遮った。私は指と指の隙間から空を覗き、眩しさを紛らわすように微笑んだ。

「…悪くないよ。…悪くない」

腕から力を抜く。
脱力したそれは、重力に従ってだらんと落ちる。
碧空は、そんな私を嘲笑うこともせず、依然としてそこに立ちはだかった。
私はそれに立ち向かうことすら許されない。ただ見つめることしかできない、哀れな傍観者に過ぎなかった。

「そう、何より」
「うん…」

まるで時が止まってしまっているかのように、静かで柔らかな時間。
視界には青と白。耳には愛しい声が響く。これ以上の贅沢はない。

「フェイトちゃん」

目を瞑り、愛しい人の名を紡ぐ。
空に消えてしまうほどに小さな音だった。それでも、この無人の空間には大きすぎる声。
大の字に五体を広げ、無防備に身を投げている私は、フェイトちゃんの目にはどう映っているのだろう。

「何?」
「キスしてほしいな」

目を開き、ぽけんとしているフェイトちゃんを映す。
大好きな赤い眼。大好きな金色の髪。
私の大好きな人は、優しく風とともに微笑んだ。

そして、
一瞬、光って。

「ん…」

煌めいて、融ける。

何度、この甘美な果実を味わっただろう。
数え切れないほど齧って、でもどの瞬間も違った味だった。
―あと何度、口にすることができるのだろうか?
そんな野暮な思考が、時々私の脳を巡った。

空を埋め尽くす青が、私たちを包み込む。
その永遠は、一瞬だった。

「―お二人さん」

唇が離れるのを見計らってくれたのか。
良いタイミングで声が掛かった。
馴染みのある、銀色の光が羽ばたいている。

「お楽しみの最中悪いんやけど、急用や。ちょお顔貸してくれへん?」

漆黒の羽根が舞っている。
ユニゾンをしているというだけで、そこそこの事件だということが把握できる。
私は空を仰いで、ふうと息を吐き出す。

「どうせ、拒否権なんて無いんでしょ?」

返答は、ひとつの微笑だけだった。




 *


行ってみれば、それほど大した事件でもなかったが、任務は一応こなさなければならない。
兵を一掃し、現況であるロストロギアの回収を済ます。

「それ…、効果とかは何なの?」
「ああ…。鏡やって」

局に戻った私達は、納められているロストロギアを前にそれの分析をしていた。
真っ白い縁に鏡が入っていることくらいは見れば分かることだった。

「真実を映し出す、鏡なんやって」
「真実?」

フェイトちゃんが画面からはやてちゃんに目を移す。

「せや。犯罪者の真意を確かめる為に造られた言われとる」
「ふーん…」
「でも、本当は」

そこではやてちゃんは言葉を濁した。
なにか不都合なことでもあるのかと思ったが、そうでもないらしい。
直ぐに再び口を開いた。

「恋人が、相手の本心を探るために造られた代物なんやよ」

はやてちゃんの微笑は、哀れみのような、呆れ切っているような、そんな雰囲気だった。
私は回収したロストロギアに視線を向ける。厳重に保管されているそれは、蛍光灯の光を反射させていた。
一見普通の少し洒落た鏡に見えるが、相手の本心が分かる力を持っているとなれば、悪用し放題だろう。

「そんな疑い掛けるくらいなら、別れたほうがましやと思わへん?」

リズム良く動かしている指に反し、その口調は途切れ途切れで聞こえにくく、本当にそう思っているのか疑問に感じるくらいだった。
確かに、はやてちゃんの意見には賛同するが、しかしそれはあくまで今の私の意見だ。
明日の私、明後日の私が、このロストロギアを強奪してフェイトちゃんに使っているかもしれない。

―いや、それでも。

「そうだね…。
それに、相手の本心が分かったところで、それを曲げることなんて出来やしないんだから」

道具や力で無理やり捻じ曲げたって、意味は無い。
愛とは、そういうものだと思う。

「フェイトちゃんは、どう? それでも、知りたい?」
「…いや。全く」
「ふふっ、そうだろうと思ったよ」

私だってそうだ。
行動を起こすかどうかとは別の、そうしたいかどうか。
勿論、そんなことはしたいとは思わない。

「はやてちゃんは? リインのこと…、って言っても、リインじゃ裏も表も無いよね」
「ははっ、確かにそうやな。あの子に隠し事は向いてへん。それが本心かどうかくらい、見たら分かるもん」

はやてちゃんは笑いながら、瞼の裏にリインを思い浮かべるようにして目を細めた。
しかし、一息ついた後、はやてちゃんは微笑を苦笑に変えていた。

「ただ…」
「…はやて」

それまで壁に寄りかかっていたフェイトちゃんが、突然取り付かれたように動いていたはやてちゃんの指を制止した。
その表情からは、怒りと焦りが滲み出ている。
状況が飲み込めない私を差し置いて、フェイトちゃんは言葉を続けた。


「そこ、打ち間違ってるよ。疲れているみたいだから変わってあげるね」

その言葉が嘘だということは直ぐに分かった。様子は変でも、はやてちゃんの情報は全て正しく、一字一句狂うことなく打ち込めていたし、フェイトちゃんが若干早口にものを言うときは決まって何か隠し事をしているからだ。

はやてちゃんは額に冷や汗を浮かべ、はっとしたようにフェイトちゃんを見ている。
フェイトちゃんは静かにはやてちゃんから手を離し、それを肩に持っていった。

フェイトちゃんははやてちゃんに目で何かを訴えていた。
はやてちゃんは少し顎を引いて、むりやり唇を引いて笑った。

「あ、ありがとな…。
なんやうち、ほんま疲れてるみたいや。ごめんな、ちょお休ませて貰ってええ?」
「うん、大丈夫。後は任せて」

指で頭を抑えるようにして、はやてちゃんはぎこちなく歩を進めた。
靴と床が打つかって、耳障りな音が鳴る。

「大丈夫? はやてちゃん…、顔色よくないよ?」
「ああ、平気や。休めば、直ぐよおなるよ…」
「そう…」

軽い貧血なのかもしれない。シャマルさんに見てもらったほうが、と言おうとしたときには、はやてちゃんは既に姿を消していた。
フェイトちゃんは画面に目をやることは無く、はやてちゃんが出て行った扉を見つめていた。その頬には微かだが冷や汗のようなものが浮かんでいた。

「フェイトちゃん?」
「…なのは」
「え?」

はやてちゃんを追い出すようにした事情を尋ねるべく、フェイトちゃんに声を掛けたが、それを遮るかのようにフェイトちゃんの両腕が私を包み込んだ。
唐突のその行為に、私は怯むことしか出来なかった。

「どうしたの? フェイトちゃん、さっきから変だよ?」
「なのは…。私、なのはが大好きだよ…。誰にも負けないくらい、なのはのことが好きなんだ」

驚いた。
普段、フェイトちゃんはあまり私に好きだとは言わない。
夜の行為のときにすら、めったにフェイトちゃんは軽々しく好きだとか愛してるとかは言わなかった。
それはフェイトちゃんがその言葉の重みを誰よりも理解しているからだと思っていた。

だからこそ、二度も出てきたその言葉に、私は困惑を隠せなかった。

「フェイトちゃん? 私だって、フェイトちゃんのこと大好きだよ?
けど、なんで今…」
「なのは…、なのは」

フェイトちゃんの背中は、小刻みに震えていた。
私の背中に回されている手も、いつもよりかなり冷たくなっている。

「フェイトちゃん…。
大丈夫、大丈夫だから…。私もフェイトちゃんが好きだよ。この世の誰にも負けないくらい、フェイトちゃんのこと、大好きだから」
「なのは…」

フェイトちゃんの震えている背中を宥めるように、なるべく優しく背中を撫でる。
段々と落ち着きを取り戻したのか、背中の震えはやがて止まった。
私の背中にあった手を頬に移したフェイトちゃんは、そのまま目を瞑って顔を近づけて来る。
同じように目を閉じて、やがて唇は重なった。

―甘い、とろけるような果実。
いつもと変わらず、それは何よりも愛おしい味だった。





 *



壁に、
何かが打たれた、衝突音。

歯が食いしばれる音が、無人の廊下に響く。
音の現況は、怒りに満ちた表情で、壁にぶつけた掌を硬く握った。

「くそっ…」

眉間に目一杯寄せられた皺が揺らぐ。

「ロストロギアの影響か…。いらんとこに出てきおうて…」

髪をぐしゃりと掴み、それはふうと息を吐く。
彼女の言葉に答える者はいない。そして、彼女はそんなことは望んでいない。
答えてほしい者がいるとしたなら、それは自分自身になるのだろう。

「ふん…。皮肉なもんやよなあ…。
うちじゃあかんなんて、とおの昔っから分かっとるゆうに…」

自嘲のように、彼女は笑った。
背中を壁に委ね、彼女は天井を仰ぐ。

「まだ…、諦め切れとらんなんて…」

笑った顔はそのままに、彼女の眼に水滴が浮かんだ。
それは直ぐに零れ落ち、彼女の足下を一滴一滴と濡らしてゆく。

「なあ、リイン…。
今のうちを、あんたがみたら、どないな顔するかな?」

それは、小さな素直で優しい今愛すべき者に向けられた言葉なのか、それとも今は亡き愛した者に向けられる言葉なのか。
彼女の言葉は終わらない。

「あざ笑って、軽蔑でもしてくれたら、楽何やけどなあ…」

彼女の涙は止まる気配を見せない。

「リイン…。
ごめんな…。ほんま、ごめんな…」

それは、彼女が昔愛した存在を無くしたばかりの彼女に、よく似ていた。
笑いながら涙を流し、強がって虚勢を張る、その姿に。

しかし唯一違うのは、今は誰も彼女の辛さを和らげてはくれないということ。
背中のぬくもりも、涙を拭ってくれる温かい手も、今は無い。

「なのはちゃん…」

ふいに出てしまった、その言葉。
隠せない思いが、溢れ出る。

「――――…」


消え入った、その言葉。
誰の耳にも入らなかったそれは無くなった。

しかし、彼女の心にある想いは、枷のようにいつまでも、外れてはくれない。







〔以下だそく〕
リイン名前しか出てないじゃんw

にしてもつっかれた。
もう当分シリアス書かない。
当分糖分おおめで←



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